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アンドレ・メサジェ「クラリネットとピアノのためのソロ・ドゥ・コンクール」

国際的なクラリネット奏者として多彩な演奏活動を行い、パリ地方音楽院やローザンヌ高等音楽院で教鞭をとるフローラン・エオー氏。エオー氏がフランスで執筆中のブログの日本語版を、シリーズ化してお届けいたします。

フローラン・エオー氏 ブログ Vol.8
アンドレ・メサジェ「クラリネットとピアノのためのソロ・ドゥ・コンクール」

アンドレ・メサジェ

アンドレ・メサジェは、1853年に生まれ、1929年に亡くなったフランスの作曲家、指揮者です。
作曲家としては、バレエ音楽(1886年『二羽の鳩』)、オペレッタ、オペラブッファ(1898年『ヴェロニク』、1919年『ムッシュー・ボーケール』)を主に担当しました。
クロード・ドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』を初演した指揮者でもあります。
パリ・オペラ座(1908年から1914年まで共同演出家を務める)では、ワーグナーの『四部作』とリヒャルト・シュトラウスの『サロメ』の上演を実現させました。

アンドレ・メサジェの『ソロ・ドゥ・コンクール』(クラリネット、ピアノ伴奏)は、1899年のパリ音楽院のコンクールのために書かれたものです。当時の教授はシリル・ローズ。第1位はルイ・カフザック(19歳)が獲得しました。

エベット&シェーファー社刊『ソロ・ドゥ・コンクール』

フランスで伝統的に受け継がれている、いくつかの指示をご紹介します。

クラリネット奏者の世界において大きな論争のひとつとなっているのが、16小節目の最後の音にまつわるものです。レ♮かレ♯か?

ダンハウザーの理論(1872年発表)では、偶発的な変化の影響は「同じ小節内の同じ名前のすべての音に及び続ける」と明記されています。
ダンハウザーによれば、編集で♮が忘れられたのでなければ、小節の始めにCis(B♭管のレ#)で、最後の拍に♮に下降するピアノの動きで分かるように、レは♯であるといいます。
ユリス・ドゥレクリューズ(1948年から1978年までパリ・コンセルヴァトワールの教授)は、1954年にジャック・ドゥレクリューズと行った録音でレ♮を演奏しています。

参考になりそうなブレスを紹介します。

次の例では、印刷されたブレス(レの後)の位置が正しくありません。下図のものに倣ってください。また、その前のド#にフェルマータをつけるという伝統にも留意してください。

次の例のレも同じようにします。

カデンツァの後は、譜面のニュアンスが不明瞭なため、以下の抜粋のとおり変更します。
1つ目の下降ではド♭の音に注意し、2つ目の下降ではすべての音(特にド)をしっかり鳴らしてください。

カデンツァの最後については、伝統的な息継ぎの場所を紹介します。8分音符の上行部分の変化も必ず確認してください。

ルデュック版ではアーティキュレーションが欠落していることに注意してください。

それに、選択肢の一つとしての呼吸の位置です。

そして、最後の部分は、ここです。

例はLeduc版から引用しました。

フローラン・エオー氏 関連リンク
※ ブログVol.1 「ドビュッシー、クラリネットとピアノのための第一狂詩曲」はこちら
※ ブログVol.2「プーランク、クラリネットとピアノのためのソナタ」はこちら
※ ブログVol.3「シャルル=マリー・ヴィドール、クラリネットとピアノのための序奏とロンド」はこちら
※ ブログVol.4「ストラヴィンスキー、クラリネットのための3つの小品」はこちら
※ ブログVol.5「オリヴィエ・メシアン、世の終わりのための四重奏曲」はこちら
※ ブログVol.6「タンギングについて」はこちら
※ ブログVol.7「ベリオ、クラリネットのためのセクエンツァIXの原点」はこちら
※ ブログ(オリジナル版)はこちら
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※ 本記事は、フローラン・エオー氏のご承諾のもと、2011年5月5日に公開されたブログ記事を株式会社 ビュッフェ・クランポン・ジャパンが翻訳したものです。翻訳には最新の注意を払っておりますが、内容の確実性、有用性その他を保証するものではありません。コンテンツ等のご利用により万一何らかの損害が発生したとしても、当社は一切責任を負いません。

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