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シャルル=マリー・ヴィドール、クラリネットとピアノのための序奏とロンド

国際的なクラリネット奏者として多彩な演奏活動を行い、パリ地方音楽院やローザンヌ高等音楽院で教鞭をとるフローラン・エオー氏。エオー氏がフランスで執筆中のブログの日本語版を、シリーズ化してお届けいたします。
 
 
フローラン・エオー氏 ブログ Vol.3
シャルル=マリー・ヴィドール、クラリネットとピアノのための序奏とロンド
 

シャルル=マリー・ヴィドール (1844-1937)

 
音楽家シャルル=マリー・ヴィドールのオルガン奏者、教育者、作曲家としての活動は、驚くほど長期に及んでいます。それは第三共和制のほぼ全期間、つまり1890年にパリ音楽院でヴィドールが後任を務めたセザール・フランクからメシアンまでの間に渡るものです。
 
シャルル=マリー・ヴィドールの名は、何よりもまず、オルガンで知られています。オルガン奏者一族の家庭に生まれ、パリのマドレーヌ寺院の楽廊でサン=サーンスのアシスタントを務めた後、サン・シュルピス教会のカヴァイエ・コル作のオルガンを受け継ぎ、この楽器のために10曲の交響曲を作曲しました。1932年に、88歳のヴィドール自身が演奏した交響曲第5番の有名なトッカータをご紹介します。

Ch. M. Widor plays his Toccata from V Symphony Op. 42 No. 1

1898年のパリ音楽院では、シリル=クリソゴン・ローズがクラリネット教師(1881年~)を務め、シャルル=マリー・ヴィドールはテオドール・デュボアの作曲、対位法、フーガのクラスを受け継ぎ、デュボアが院長に就任したところでした。
 
そして、ヴィドールは、年末のコンクールのために「序奏とロンド」Op.72を作曲しました。この曲にはヴィドールの「友人C.ローズ氏へ」という献辞が記されています。このコンクールでは、ルネ・ヴェルネイが当時18歳で最優秀賞を受賞し、後にギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽団のソロ・クラリネット奏者となります。
 

ウジェル社版

 
ここでは、ウジェル社から出版されたクラリネット譜で修正が必要な点を説明します。
 
高音のレの下のスフォルツァンド(Sf)は、伝統的に、前のソ♮の前に一呼吸置くことで、音の高低差の表現とクライマックス効果を強めています。
 

 
レ♭はスフォルツァンド(Sf)で

 
モデラートの最初はピアニッシモ(pp)で

 
♩=132、アレグロのテンポで

 
♩=108、ピウ ラルゴのテンポで

 
ここはディミヌエンドです

 
アクセントをつけましょう

 
フォルティッシモ(ff)とピアチェーレ

 
テンポプリモの7小節前に、ア・テンポ

 
ソ♯はフォルテピアノ(fp)

 
レガート
 

 
ピアノ(p)とスフォルツァンド(sf)
 

 
ここはアラルガンドです

 
ここで息を吸います

 
リテヌートがあります

 
最後の音はスフォルツァンド

 
この音楽はロマン派のスタイルで書かれています。私たちの耳には少し古く聞こえるかもしれませんが、叙情的で誇張されたものです。当時の演奏スタイルを知るには、女優サラ・ベルナールの音楽的な朗誦による、強烈な台詞回しを聴くと良いでしょう。
https://youtu.be/FjyB18FVGNc

(レア動画!)サラ・ベルナール -「ラ・サマリテーヌ」より抜粋(1903年)

 
ヴィドールの序奏とアレグロは、非常に「フランス的」なスタイルで書かれており、奏者には集中力と情熱、表現力が求められます。とても華やかな作品です(コンクール作品としての使命も忘れてはいけません)。ア・ピアチェーレと書かれた部分は、しなやかなルバートで幻想的に表現します。ニュアンスも多彩、かつ繊細で、コントラストに富んでおり、異なる和声の色彩感も強調することができます。
そして、最後の一言ですが、粋で優雅な演奏をしてください。
 
 
フローラン・エオー氏 関連リンク
※ ブログVol.1 「ドビュッシー、クラリネットとピアノのための第一狂詩曲」はこちら
※ ブログVol.2「プーランク、クラリネットとピアノのためのソナタ」はこちら
※ ブログ(オリジナル版)はこちら
※ プロフィールページはこちら
※ レッスンを受講できる欧日音楽講座のページはこちら

※ 本記事は、フローラン・エオー氏のご承諾のもと、2010年2月5日に公開されたブログ記事を株式会社 ビュッフェ・クランポン・ジャパンが翻訳したものです。翻訳には最新の注意を払っておりますが、内容の確実性、有用性その他を保証するものではありません。コンテンツ等のご利用により万一何らかの損害が発生したとしても、当社は一切責任を負いません。

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