タンギングについて

国際的なクラリネット奏者として多彩な演奏活動を行い、パリ地方音楽院やローザンヌ高等音楽院で教鞭をとるフローラン・エオー氏。エオー氏がフランスで執筆中のブログの日本語版を、シリーズ化してお届けいたします。
 
 
フローラン・エオー氏 ブログ Vol.6
タンギングについて
 
タンギングは舌先をリードの先端につけて「テュ」と発音します。
 
簡単で当たり前のことのように聞こえますが、多くの人が実際にはやっていません…。
そして、タンギングの問題は、ほとんどの場合、悪いポジション（舌の先端から離れすぎたところを使っている、またはリードの先端から舌が離れすぎている）が原因です。
 
リードの位置を間違えると「不鮮明な子音」が出ます。舌の位置を正しくすることで、クリアでシャープ、かつ正確なタンギングを実現します。
 
まず、自分がどのようにタンギングを行なっているかを観察してみてください。必要であれば、目を閉じて、次のエクササイズの各音符について、舌がリードのどこにあるかを正確に感じてみてください。
 

エクササイズ

 
この「棚卸し」で悪い点が見つかったら、変更しましょう。
 
息の支えは基本です。この練習では、4分音符の音をまっすぐに出し、16分音符の前に切れたり小さくなったりしないように吹くことが必要です。
 
レガートを先に吹いて（支えを確保するため）、スタッカートも同じように吹くように気をつけると、舌を鍛える効果もあり、常に良い練習になります。
 

タンギングについてはオンライン欧日音楽講座2021質疑応答 第１回「日々の練習について」でも説明されています。併せてお読みください。

 
第一段階は定性的な作業です。上記の基準（リードの上の舌の位置、息の支え、アーティキュレーションの質）と、アンブシュアの4つの基本ルールをすべて「意識的に」尊重し、落ち着いて練習してください。
 
自分の音に耳を傾け、修正しましょう。高域は厳しいですが、問題点が明らかになります。
-タンギングが硬いですか？ 舌の圧力を軽くしてください。
-タンギングした音が前に向かって出ていない（音が下から出て来る）？ アンブシュアを修正しましょう（アンブシュアは動かしてはいけません）。
 
練習中、アンブシュアの３つの圧力を確認する必要があります。
-息の圧力
-リードにかかる唇の圧力
-リードにかかる舌の圧力（求めるアーティキュレーションに応じた強さ：重い、弾力がある、歯切れが良い、軽い…）…。
聴いて、観察して、感じて、模索して…そして修正しましょう!”
 
次にスピードの見つけ方です。メトロノームの助けを借りて、徐々にスピードを上げ、その時の自分の限界を超えないようにしましょう。毎日、ゆっくりしたテンポから始めて、一段階ずつ上げていきます。”
 
仕上げに、エクササイズの最後の「ミ」を長く弱く吹いて、レガートのちょっとした練習を、繊細な音で…。常にやっておきたいものです！
 
注意：この練習を遅いテンポで吹く場合は、別のタイプのスタッカートを使う必要があります：”跳ねるようなタンギング”（「パム」という音、例えばドビュッシーの狂詩曲の「7」番周辺のスケルツァンドのモチーフに使うもの）です。
 
この場合、舌に加えて腹部が働き、一音一音を吹いて共鳴させます（ピチカートにも近づけます）。
 
タンギングに何時間もかける必要はありません。1日10分、毎日続けることで、より大きな効果を得ることができます。
上記の練習を一通り習得したら、レパートリーの一節（例えばニールセンの協奏曲や「真夏の夜の夢」のスケルツォなど）で同じ練習をしましょう。
 
一般的にタンギングについて話すのは簡単ではありませんが…もしかしたら、これらのヒントがあなたの上達の助けになるかもしれません。
がんばってください！
 
 
 
フローラン・エオー氏 関連リンク
※　ブログVol.1 「ドビュッシー、クラリネットとピアノのための第一狂詩曲」はこちら
※　ブログVol.2「プーランク、クラリネットとピアノのためのソナタ」はこちら
※　ブログVol.3「シャルル＝マリー・ヴィドール、クラリネットとピアノのための序奏とロンド」はこちら
※　ブログVol.4「ストラヴィンスキー、クラリネットのための３つの小品」はこちら
※　ブログVol.5「オリヴィエ・メシアン、世の終わりのための四重奏曲」はこちら
※　ブログ（オリジナル版）はこちら
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※　本記事は、フローラン・エオー氏のご承諾のもと、2009年7月30日に公開されたブログ記事を株式会社 ビュッフェ・クランポン・ジャパンが翻訳したものです。翻訳には最新の注意を払っておりますが、内容の確実性、有用性その他を保証するものではありません。コンテンツ等のご利用により万一何らかの損害が発生したとしても、当社は一切責任を負いません。