検索

NEWS

初心者に薦める“GALA”、“R13”、“RC”の魅力

「クラリネットの神様」とも言われるフランスの名クラリネッティスト、ジャック・ランスロに師事し、現在は国立音楽大学の学長を務める武田忠善氏と、長く武田氏に師事し、昨年よりシエナ・ウインド・オーケストラのコンサートマスターを務める佐藤拓馬氏に、主に〈ビュッフェ・クランポン〉のプロフェッショナルモデルの入り口にあたる“R13”、“RC”、“GALA”の魅力についてお話を伺いました。(取材:今泉晃一、写真:各務あゆみ)

  お二人の〈ビュッフェ・クランポン〉歴を教えてください。

武田(敬称略) 初めて〈ビュッフェ・クランポン〉の楽器を持ったのは52年前です、国立音大を卒業してフランスのジャック・ランスロ先生のところに留学したときには“S-1”という楽器を使っていました。日本に帰ってからは“RC”で、その後“フェスティヴァル”を吹いていた時期が長く、その後“トスカ”に替えました。“トスカ”も15年くらいの間に3~4本使って、現在は“レジェンド”を使っています。

思えばずっと〈ビュッフェ・クランポン〉でした。その理由のひとつは、ランスロ先生が〈ビュッフェ・クランポン〉の“BC20”という楽器を使い続けていたことです。現在の
ラインナップにある“RC”は、当時の工場長で設計の主任という立場であったロベール・カレという人の頭文字ですが、そのカレさんとランスロ先生が一緒になって開発したのが“BC20”で、その後二人が開発したのが現在の“R13”や“RC”です。ランスロ先生に紹介されて、〈ビュッフェ・クランポン〉の工場や、ロベール・カレさんの家にも行ったことがありますよ。

トスカ”は今の時代に合っている楽器で、非常に気に入っていました。“レジェンド”はまた吹き心地が違って、よりパワーがあって下から上までしっかりと鳴る楽器です。

佐藤(敬称略) 僕もずっと〈ビュッフェ・クランポン〉です。中学校の吹奏楽部に入って2、3か月は学校の楽器を使っていましたが、間もなく〈ビュッフェ・クランポン〉の“RC”を買ってもらいました。その後、学校に教えに来てくださっていた飯島泉先生に「本当に音楽をやりたい!」と話したところ、勧められて中学2年生のときに“フェスティヴァル”を買いました。以来、〈ビュッフェ・クランポン〉の楽器を使い続けています。

そしてヤングクラリネッティストコンクールで1位を取ったお祝いに“トスカ”を買ってもらい、今使っているのは2本目の“トスカ”です。武田先生には高校1年生のときから習っていて、「武田先生の音がクラリネットの音」というイメージになっていますので、迷わずそのとき先生が使っていた“トスカ”を選びました。

  では、そんな〈ビュッフェ・クランポン〉の魅力はどこにあると考えますか。

佐藤 なんといっても「音」ですね。それから、自分ですべてをコントロールできる自由自在なところでしょうか。奏者の思うような空気感や世界を醸し出せることが一番の魅力だと思っています。

武田 高校1年生くらいのときから〈ビュッフェ・クランポン〉を使い始め、国立音大で浜中浩一先生に習いました。浜中先生はジャック・ランスロのお弟子さんであり、フレンチスタイルを日本に広めた最初の人です。そのフレンチスタイルというのは要するに「ジャック・ランスロ・スタイル」なんです。そして、そのランスロ先生がメーカーと一緒に開発したのが〈ビュッフェ・クランポン〉の楽器なんです。

楽器はあくまで道具だと思うので、自分の出したい音や音楽に合っている楽器を選ぶべきです。自分の場合は浜中先生に「ジャック・ランスロ・スタイル」を学びましたが、それは先生が〈ビュッフェ・クランポン〉の楽器を使ってフランスで学んできたことであり、後には私自身もパリでランスロ先生に学びました。〈ビュッフェ・クランポン〉の楽器はそういう自分の出したい音とかイメージ、音楽を表現するのにもっとも合っています。だから、私は他の楽器を使ったこともないし、使おうと思ったこともありません。

これまで、ミシェル・アリニョンに招かれて何度かパリ音楽院でマスタークラスを行ないましたが、そのときに学生が「ジャック・ランスロが作ったフランス伝統のメソッドを、日本人のタケダに教わることができた!」と言っていたそうです。それは嬉しいことですが、フランス伝統のメソッドというものは、〈ビュッフェ・クランポン〉とともに進化してきたものであり、私はそういうフランスの伝統を次の世代を残したいとも思っています。

そして、ジャック・ランスロが次の世代として認めていたのが、ミシェル・アリニョンなんです。実際には、彼はランスロに習ったことはないのですが。そして、今はアリニョンが〈ビュッフェ・クランポン〉とともに楽器の開発を進めているわけです。

武田忠善氏

佐藤 ジャック・ランスロの音はCDでしか聴いたことがありませんが、「あれこそがクラリネットの音だ」ということは、浜中先生を経て、武田先生を通じて感じ取ることができます。武田先生のおかげで、ミシェル(アリニョン)にも師事することができて本当によかったと思っています。

  さて、〈ビュッフェ・クランポン〉の“R13”、“RC”、“GALA”は、プロが使うにも堪える「プロフェッショナルモデル」のなかでもベーシックラインにあたりますが、それらを早い段階から選ぶことにはどんな利点がありますか。

武田 初心者の場合、続けるかどうかわからないから最初はもっと安い楽器にしようかというのもわかりますが、いい楽器を使うと興味が長続きするんですよ。最初から“R13”や“RC”を持って、中学、高校、そして卒業後もクラリネットを続けられたらいいと思いませんか。きちんとメインテナンスしていれば、長く使えますから。今ならより吹きやすい“GALA”という選択肢もあります。そしてもっと高い欲求が出てきたら、上位モデルに買い替えればいい。

ただ、スチューデントモデルである“E11”、“E12(F)”、“E13”も“R13”を基準に作ってある「兄弟分」ですから、予算的に難しいならそれでも十分だとは思います。息の力やアンブシュアが弱い初心者にとっては、こちらの方が吹きやすいのも確かです。中でも私は“E12(F)”が気に入っていて、まるで“トスカ”みたいな柔らかくていい音がしますよ。

価格はリーズナブルですが、そのなかにも〈ビュッフェ・クランポン〉の音色というものが脈々と受け継がれているんです。ここがすごいところで、まずスチューデントモデルで育って、自分の音のイメージがはっきりしてきたところで“R13”や“RC”、“GALA”のようなプロフェッショナルモデルに持ち替え、最終的には“トスカ”や“レジェンド”まで行くこともできるわけですから。

佐藤 楽器を練習して上達すると言うことは、われわれプロフェッショナルに近づいてくるということですよね。そう考えると、最初からプロフェッショナルモデルである、“R13”なり“RC”、“GALA”などの楽器を持っていた方が、ベースが同じところにあるので同じことがやりやすいと思います。それはつまり、上達しやすいということです。僕も最初からプロフェッショナルモデルを使っていて、当時はあまり意識していませんでしたが、上達を助けてもらった部分が大いにあると思います。

まず最初に、学校の楽器から自分の〈ビュッフェ・クランポン〉に替えたときの衝撃は大きかったです。「こんなに違うんだ!」とね。同じ息の量でも出る音の響きが全然違って、最初のうちは鳴らしすぎてしまいました。本当はそれを含めて自分がコントロールしていかないといけないのですが、中学生の頃は耳を使わず、ただ息を入るだけ入れて吹いた結果、吹きすぎてしまっていたんですね。武田先生には、そこから「音を作っていく」ということを教えていただきました。でも、そういうこともよく鳴る楽器だからこそできたことで、僕が最初に吹いた学校の備品のように鳴らない楽器だとまず「音を出す」ということに労力を払わないといけないので、「音を作る」ところまでなかなか行けないんです。

佐藤拓馬氏

武田 大事なのは音量ではなく、響きなんですよ。声楽でただ怒鳴ってもダメなのと同じように、クラリネットでも大きい音を出すのではなく、響かせることが大事です。われわれの欲求として、ホール全体を響かせるということがありますが、ppでも十分にホールの後ろまで音を届けることは可能なんです。

それが十分にできる楽器を考えたときに、〈ビュッフェ・クランポン〉で言えばやはり“R13”が基準になります。楽器の選定会などをしていても、楽器を始めたばかりで“E11”や“E12(F)”を買うつもりでいた人も試しに“R13”を吹いてみると、やはりいい音がするのがはっきりとわかりますよ。

  「“R13”がスタンダード」というのはどうしてなのですか。

武田 歴史的に見て、〈ビュッフェ・クランポン〉がジャック・ランスロとともに最初に作った名器“BC20”の発展型だからです。そこから時代を経るにつれて新たに要求されるものに応えるために開発された楽器が“RC”だし、“フェスティヴァル”や“トスカ”なども元をたどれば“BC20”や“R13”に行きつくと言ってもいいと思います。
もちろん、“RC”も私が長く吹いていたいい楽器だし、新しい“GALA”はすばらしい楽器です。これらを基準として、自分がレベルアップするのと同時に自分の目指したい音の方向性も見えてくるでしょうから、それに合った楽器に進むといいと思います。

  では、別のメーカーの楽器から、〈ビュッフェ・クランポン〉の“R13”、“RC”、“GALA”などのプロフェッショナルモデルに買い替えるメリットは?

佐藤 楽器を替えたいということは、自分のやりたいことに対して、もっとやりやすい楽器にしたいということですよね。だから何の楽器にするかはその人次第ではありますが、〈ビュッフェ・クランポン〉は「耳の満足度」が高いんですね。

武田 〈ビュッフェ・クランポン〉のプロフェッショナルモデルは音の質感が他と全然違っていて、いい意味で音に芯がありますので、吹奏楽などのアンサンブルの中に1本入るだけでも周りの音がその楽器に寄って来るんです。それが2本、3本とあれば、バンド全体の音が変わってきますよ。そういう意味で“R13”や“RC”、“GALA”という楽器は、吹奏楽で使うのにもベストだと思います。

佐藤 モデルによって音の感じは違いますが、結局〈ビュッフェ・クランポン〉の音がするので、同じパートに両方あっても音が混ざることは間違いないです。

武田 同時に、モデルによって特徴はしっかりとあります。先ほどお話ししたように“R13”はスタンダードと言えますが、それに比べると“RC”は柔らかみがあって、少し太い音という印象です。音の太さがあるので、吹奏楽などでは合わせやすいかもしれません。新しく出た“GALA”という楽器は、“R13”の伝統を受け継ぎながら、下から上まで吹きやすく、非常にバランスのいい楽器です。

佐藤 プロでも“R13”や“RC”を使っている人はいますからね。“RC”特有の音の艶のようなものが好きな人は多いと思います。

写真左より、武田忠善氏、佐藤拓馬氏

  先ほど「“R13”や“RC”、 “GALA”が吹奏楽にベスト」というお話がありましたが、吹奏楽でクラリネットを吹く人に何かアドバイスをお願いします。

武田 40年以上前、〈ビュッフェ・クランポン〉は楽器を売るだけでなく、教育、メインテナンスの三本立てで行くという考え方を始め、当時の社長と一緒に全国を回りました。以来、ずっと〈ビュッフェ・クランポン〉の契約講師として、吹奏楽コンクールの全国大会で金賞を取るような学校から、地区大会で銅賞というような学校までたくさん指導しています。そこではまず楽器の組み立て方から始まり、音の出し方の基礎の基礎をやります。ただ、どう使われてきたかわからないような学校の楽器は、鳴りにくいものが多く、鳴りにくいまま使っていると余計な力が入ってしまい、いつまで経っても自然な奏法ができないです。だからと言って、マウスピースだけで音を出すことは私はやりません。あれは決していい音ではないですよね。それを一番最初に知ってしまったら、楽器を付けてもそういう音が出てしまいますよ。

それから、吹奏楽部の多くでは、譜面に沿って指を動かす、そして先生の指揮の通りに吹く、リズムが悪ければメトロノームに合わせる、音程が悪ければチューナーを見る、というやり方が多い。だからまず「自分がこういう音を出す」という意識があまり育たないんです。まずは「自分がこれからどういう音を出すのか」を知らなければならない。

子どもは純粋だから、いいものを聴かせると、いい音が出せるようになるんです。私は「音と音の会話」と言っていますが、こちらがまず音を出して子どもたちは耳を頼りに同じ音を返すというようなことをやっていくと、明らかに音が変わります。それは、頭の中が変わったからなんです。全国大会に行くような部活でも同じです。これを伝道師のようにして何十年もやっています。

  結局は吹き手のイメージが大事ということですね。

武田 そうです。「自分がどういう音を出すか」がイメージできないと、どんないい楽器を吹いても鳴りません。そもそもわれわれの言う「吹きやすい楽器」というのは、しっかりした奏法で、しっかりした息を入れて自分の思っている音をイメージして吹いたときに、それに応えてくれる楽器のことを指します。自然に息を入れれば楽器が自然に響いてくれる〈ビュッフェ・クランポン〉のプロフェッショナルモデルは、本当に意味で「吹きやすい楽器」と言えるでしょう。

  ありがとうございました。

※ 武田忠善氏が使用している “レジェンド” の紹介ページは以下をご覧ください。
※ 佐藤拓馬氏が使用している “トスカ” の紹介ページは以下をご覧ください。

Retour en Haut
Your product has been added to the Shopping Cart Go to cart Continue shopping