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アントニオ・サイオテ、コンクールを語る

ポルト・アカデミック・オーケストラの首席クラリネット奏者を長年務め、現在はポルト工科大学教授として若手奏者の指導にあたるアントニオ・サイオテ氏(以下敬称略)。2023年、横須賀で開催される第6回ジャック・ランスロ国際クラリネットコンクールの審査員を務める予定の同氏に、コンクールについて書面でお話を伺いました。(2023年7月)
 

ご自身のコンクール経験について

 
  まずはじめに、サイオテさんのコンクール参加者としてのご経験について伺います。最も印象に残っているコンクールと、コンクールで成功された理由を教えていただけますか?
 
サイオテ 私が1位を獲得した最も重要なコンクールは、ポルトガルで開催されたコンクールでした。室内楽で受賞したほか、全楽器部門の中で最高の音楽家として選ばれました。また、海外のコンクールでも受賞しています。これらは特に音楽性によって受賞することができたと考えています。
 

審査員としての視点

 
  審査員として、コンクールにおいて特に重要だと考えていることを教えてください。
 
サイオテ コンクールは、その時の審査の結果に過ぎません。最も重要なのは、候補者が音楽に向き合う態度と、人生の教訓を学ぶための知性です。それは内面的な成長の探求において、個人的、芸術的、心理的な成長を遂げるプロセスとも言えます。コンクールの勝者とは、表面的な結果に関わらず、未来への教訓を学ぶ者です。
 
  コンクール参加者は楽譜に忠実であることが求められますが、楽譜に忠実であることと、個性を発揮することのバランスについて教えてください。
 
サイオテ 独創性ついては、「最も難しいのは、書かれていることを演奏することと、何が書かれていないかを理解するのに十分な知恵を持つことだ」というジャック・ランスロ先生の教えを皆様にお伝えしたいと思います。勝手にテンポやダイナミクスを変えたり、音符を付け加えるのはアマチュアのやることです!全ての次元において適切なバランスを見つけることは、我々にとって常に挑戦です。
 

コンクールに向けたアドバイス

 
  これからコンクールに挑む奏者の方のために、アドバイスをお願いします。
 
① 効果的な準備のコツ

 
サイオテ かなり前もって沢山の準備をする必要があります。できる限り頻繁に公共の場で演奏し、音楽的、心理学的な見地から十分な情報を得る必要があります。
 
② コンクールや、重要なコンサートの本番で心がけるべきこと
 
サイオテ ステージに立つ時は、「自分自身でありたい」と思ってください。決してそれ以上の存在になろうとしてはいけません。他の人のことは考えてはいけません。より速く、より大きな音で演奏しようと思ってもいけません。準備したことをすべてやろうとしてください。私たちは常に「その瞬間」に依存しています。審査員も、不完全な存在である「人間」によって構成されているのですから、審査員についても考えないでください。
 
③ コンクールに向けたリードの準備
 
サイオテ リードについては、常に自宅で乾燥した状態に保つことをお勧めします。なぜなら製造後すぐに梱包されるリードもあるからです。
 
 もうひとつ、ジャック・ランスロ先生からのアドバイスを紹介しましょう。ステージに立つ時には、リードのことは決して考えてはいけません。結局はいつも、「一番良いのは、選んだリードの隣にあったリードだった!」と考えてしまうからです。リードのことを考えていると、一番大切なことを忘れてしまいます。コンクールで最も重要なことは、未来への教訓を見つけることだと再度強調しておきます。
 
 このたび、ポルトガルで最も重要な勲位の一つであるエンリケ航海王子勲章を授与されました。私にとってクラリネットは、善を行い、社会に貢献し、市民を教育し、知識を伝え、芸術、愛、兄弟愛を促進する手段です。
これからコンクールに挑戦するみなさん、幸運を祈ります。
 
 
  ありがとうございました。
 
 
※ アントニオ・サイオテ氏が使用している楽器の紹介ページは以下をご覧ください。
〈ビュッフェ・クランポン〉クラリネット”トスカ

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