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Luigi Grasso Interview 2018

幼少より神童と呼ばれ、国際的に活躍するジャズ・サクソフォーン奏者、ルイージ・グラッソ。演奏家として、そして教育者としての経歴についてインタビューしました。
取材:ビュッフェ・クランポン・ジャパン(2018年7月25日・東京にて)

大切なのは情熱。そして自分自身を表現するための自由。

ほぼ独学で5歳からアルト・サクソフォーンを開始

  サクソフォーンを始めたきっかけは?
グラッソ 小さい時、喘息だったんだ。両親が「テーブルの上に水を入れたコップを乗せ、息でコップを動かすトレーニングが効く」と聞いて、トレーニングを始めたんだけど、数日経って「どうもバカバカしい。どうせなら楽器に息を入れたほうがいい!」と考え、トレーニングは中止になった。その後、5歳の誕生日を迎えた時に両親からチャーリー・パーカーのCDをプレゼントしてもらい、「これがやりたい!」と思った。あの時の気持ちは、はっきりと覚えているよ!

  5歳でサクソフォーンを吹くことは可能だったのですか?
グラッソ ミニチュアじゃないよ。最初からアルトを吹いた。両親と初めて楽器店に行った時、販売員は「5歳で管楽器が吹けるわけがない!無理ですよ。」と言ったらしいけれど、僕の父は職人だったから、子どもでもサクソフォーンが吹けるように楽器を安定させる台を作ってくれたんだ。それで、初めから大人用のアルトを吹いた。

  5歳から、どのようにジャズ・サックスを学んだのですか?
ルマリエ 僕が住んでいたのはイタリアの田舎にある小さな村で、どの音楽学校にも距離的に通えない場所にあったんだ。それで、最初は村でサクソフォーンを教えている先生のところに通った。習い始めて数週間で、先生が「この子には絶対音感がある」と気が付いて、CDと一緒に演奏することから始めた。最初は先生に習ったけれど、途中からはレッスンに通うのはやめて13歳までは独学で練習したんだ。

  13歳でデビューアルバムを出すまで、独学だったのですね!
グラッソ 両親がよくコンサートやセミナーに連れて行ってくれて、そこで出会ったプロのアーティスト達がいろいろ教えてくれた。特にアメリカのアフリカ系アーティスト達は信じられないくらい僕に親切にしてくれて、沢山アドバイスをくれたよ。

  デビュー後はどのような活動を?
グラッソ  11歳で国際コンテストで優勝してからは、いろんな舞台で演奏するようになって、アゴスティーノ・ディ・ジョルジュやバリー・ハリスからレッスンしてもらい経験を積んだ。

  音楽学校でサクソフォーンやクラシック音楽を学んだことは?
グラッソ  ないよ。18歳の時にボローニャの音楽院で作曲は勉強した。対位法やオーケストレーション、ソルフェージュを学んだんだ。

  プロになることを決めたのはいつですか?
グラッソ  プロになろうと思ったことはないんだ。最初にサクソフォーンを始めた時から、ずっと音楽をやりたいと思っていたから。

 

ジャズは自分でみつけるもの

  今最も大切にしているプロジェクトは?
グラッソ CDをリリースしている「グリーンウィッチ・セッション」。世界中を旅して感じたことを「旅の日記帳」に書き留めて、音楽として再現したものだ。今まで学んできたジャズとクラシックの集大成で、コール・アングレやバス・クラリネットなど伝統的なジャズにはないオーケストレーションで演奏している。手間暇はかかるけれど、できれば毎年新しいアルバムを出したいと思っているよ。オリジナルのオーケストラ曲で毎年アルバムを出すのは大変だから、実際は2年に1度になってしまっているけれどね。あとは歌手のチャイナ・モーゼスとのプロジェクトや、ギタリストの弟と一緒のカルテットも大切なプロジェクトだ。

  ジャズには幅広いスタイルがありますが、どんな音楽が好きですか?
グラッソ スタイルは限定できないよ。すべてのスタイルを演奏したいと思っている。重要なのは、自分のやりたい演奏、自分自身を表現することだ。 自分を表現するなら自由でいないとね。僕が目指すのは美しい音楽だ。

  パリの音楽院で教えていますね。フランスのジャズ教育は、どのような特徴がありますか?
グラッソ イタリア、フランス、アメリカ、日本・・・と、もちろん違いはある。メソッドがどうこう、というより、教育者の文化的背景による違いを感じる。それは否定的なことではなく豊かさだと思う。

  音楽院でジャズを学ぶことは、プロになるための近道だと思いますか?
グラッソ 必須ではないね。僕自身も音楽院でサクソフォーンを学んだことはないし、偉大なジャズの演奏も必ずしも音楽院で学んだわけではないから。大切なのは音楽に対する情熱だ。人から押し付けられて教わるのではなく、自分の想いをぶつけることだ。それがジャズ。ジャズは自分でみつけるものだよ。

  プロになるためのアドバイスは?
グラッソ 音楽を愛すること。ライブやコンサートに行って沢山聴くこと。仲間同士のコンサートだけじゃ全然ダメだ。有名な人の演奏を聴いて、今は同じ舞台には立てないけれども、いつかはこうなりたい、と思って練習を続けることは大切だ。あとは、ひたすら練習することだね。

  BCJ ジャズ・サックス・アカデミーで講師を務めた感想は?
グラッソ 素晴らしい経験だったよ。受講生の学ぶ姿勢に感動した。上達したいという気持ちがしっかり伝わってきたよ。僕たち講師の言うことを一所懸命聞いてくれたし、皆の演奏水準も高かった。

 

使用楽器の魅力

  〈ビュッフェ・クランポン〉の センゾ“は、いつからお使いですか?
グラッソ 4年前から。ちょうど新しい楽器を探していて、試奏できる限り全てのメーカーの全ての機種を試したよ。その中で1番だったのが”センゾ”だった。

   センゾ“の気に入った点は?
グラッソ 技術的にも完璧な楽器だし、何よりも温かみのある音色が大好きだよ!嫌いなサクソフォーンは絶対吹けない。

  ”センゾ” のフランスやイタリアでの評価は?
グラッソ センゾ“はフランス、イタリアでも評判だ。でも、なぜかクラシック音楽用という先入観を持つ人が多くて残念に思う。〈ビュッフェ・クランポン〉がクラシックであまりにも有名だから、そのイメージがあるんだろうね。でも枠に囚われるのはおかしいよ。ピアノだとスタインウェイはクラシックでもジャズでも最高の楽器と思われているよね。〈ビュッフェ・クランポン〉はジャズの奏者にとっても素晴らしい楽器だ。


※ “センゾ”の製品紹介ページはこちらからご覧ください。

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