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B. チェン氏 インタビュー

香港に生まれ、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の首席オーボエ奏者として活躍中のボビー・チェン氏。2024オーボエ・フェスティバル参加のため来日された氏に、これまでの経歴と愛奏するオーボエ“レジェンド・ハイブリッド”についてお話を伺いました。
 
 
  オーボエをいつからどのようなきっかけで始められましたか?
 
チェン(敬称略) 香港では小学校で必ず楽器を1つ選んで習うことになっています。私は5歳からピアノを、6歳から小学校でリコーダーを習い、8歳になった時にオーボエのイウ・ソンラム教授に声を掛けられてオーボエを習うことになりました。それから香港舞台芸術アカデミーに入るまでは、ずっとソンラム教授から個人レッスンを受けていました。
 
  いつプロの奏者になりたいと考えられたのでしょうか。
 
チェン 17歳の時です。大学進学を考える際に、「ビジネスの道は後で選びなおすこともできる」とイウ・ソンラム教授から背中を押され、香港舞台芸術アカデミーに入学しました。アカデミーでもソンラム教授に師事し、卒業までずっとお世話になりました。
 
  その後、フランスに留学されたのは何故ですか。
 
チェン オーボエならフランスが最も優れていると思ったからです。オーボエのメーカーもフランスが多いですよね。また、スイスの合宿でレッスンを受講したことのあったジャン=ルイ・カペツァリ教授がリヨン国立高等音楽院で教えていらしたので、フランスに留学しました。
 
  リヨン国立高等音楽院はいかがでしたか。
 
チェン オーボエのクラスは、ジャン=ルイ・カペツァリ教授と、ジェローム・ギシャール教授の、二人の教授がいらっしゃいました。一学期ごとに交互に教えていただき、異なる優れたアーティストであるお二人から学ぶことができて本当に幸せでした。二人ともレッスンが素晴らしく、多くのインスピレーションを与えてくれましたし、コンクールに挑戦する時にも大いに励まされました。彼らは先生ではありましたが、レッスン以外では生徒に対して友人のような態度で接してくださる素晴らしい方々でした。
 
  思い出に残るレッスンはありますか。
 
チェン トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の入団試験の直前に受けたレッスンです。
 実は入団試験の直前に、カペツァリ先生が審査員として参加していた国際コンクールに出場しました。コンクールの規則により、カペツァリ先生は弟子である私の審査には参加されませんたが、2次予選の後に「1次予選はとても良かったよ!笑顔で演奏していたし、心を開いて表現できていた。でも2次予選では少し自分の中に閉じこもっていたね!」と声をかけてくださいました。そこで、2次予選は通ったものの、セミファイナルへの出場を断念し、10日後に控えた入団試験の練習に専念するという決断を下すことができました。カペツァリ先生は試験に備えて3時間もレッスンしてくださり、「演奏で心を開くためには、まずは身体から開きなさい。」とアドバイスしてくださいました。先生は私を常に励まし、より高い水準へと導いてくださいました。
 
  様々なコンクールで入賞されていますね。何かコツはあるのでしょうか。
 
チェン イウ・ソンラム教授も含め、私が師事した先生方は、私を枠の中に押し込もうとすることはなく、自分を自由に表現させてくださいました。上手に演奏するためには技術的な練習も勿論必要で、常に静かにゆっくりと吹く練習から始めるよう心掛けましたが、最も重要なのは音楽ですから、コンクールや入団試験では自分の音楽を演奏するということを大切にしていました。
 
  枠にはめるレッスンを受けられなかったということは、ご自身で様式を習得されていた、ということだと思います。どのように学ばれたのですか。
 
チェン 音楽院で様式や音楽史への理解を深めました。フランスとドイツとイタリアのバロック音楽がどのように異なるか、などの座学での知識は有用です。しかし、様式というのは実はごく自然なもので、譜面を見れば分かることでもあります。私は楽曲に取り組むときに、かなりしっかりと譜面を読みこみます。そこで直感的に感じたり、考えたことが、たいていは的を得ているように思います。実際、パリで受けたあるコンクールでは、審査員長から「あなたは前世でフランス人だったに違いない」と仰っていただけたことがありました。笑
 

2024オーボエ・フェスティバルで圧巻の演奏を披露したボビー・チェン氏

 
  トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の入団試験はいかがでしたか。
 
チェン 私がトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の入団試験を受けたのは、リヨンの国立高等音楽院の修士課程2年目のことでした。
 ヨーロッパでは、先生が勧める場合は高等音楽院の2、3年目あたりから入団試験に挑戦し始めます。私もいくつかの試験を受けました。そして2016年、リヨンの国立高等音楽院卒業の少し前に入団試験に合格しました。地方の楽団ですので、参加したのは僅か30名程度。1次から最終の3次試験までを1日で行い、人数は1次が30人、2次が5人、最終試験は私1人でした。そして、音楽監督のトゥガン・ソヒエフ氏が私に首席オーボエ奏者としての可能性を見出してくださり、トゥールーズでの冒険が始まりました。
 
  合格されたのはどのような点が良かったからだと思いますか。
 
チェン 重要なのは音楽性です。私は入団試験に合格する前まで、オーケストラ奏者は絶対に間違ったらだめだと考えていました。100%正確でなければならいと。しかしそれは不可能です。入団試験ではもちろん十分な技術水準が必要ですが、首席奏者には特に音楽性が求められます。
 我々は、「あんなミスをしてしまったから、もうだめだ!」と考えがちです。実際、私もトゥールーズの最終試験でいくつか技術的なミスを犯しました。「もうだめだ!このコンクール自体が仕切り直しになる!」と思ったのに、トゥガン・ソヒエフ氏に選んでいただき、結局は音楽性を評価されていることが分かりました。
 香港のイウ・ソンラム教授は、「技術は表現を助けるためのものであり、自宅練習でもどのような表現にしたいかを常に考えて練習する必要がある」といつも仰っており、それを実行していたことが合格につながったと感じています。
 
  トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団はどのようなオーケストラですか。
 
チェン 楽団員全員が大きな家族の一員です。雰囲気の良い楽団は大都市にも沢山ありますが、小規模都市ならではの親密な関係が築かれています。と言うのも、楽団員は自宅から15分ほど移動すれば、すぐに仲間と落ち合うことができて、リハーサル後に気軽に飲みに行くこともできます。
 また、トゥガン・ソヒエフ氏が指揮をするようになってから若手奏者が増え、とてもエネルギッシュな演奏をするようになりました。
 
 

ボビー・チェン氏

 
  楽器について教えてください。今までどのような楽器を使用されましたか。
 
チェン イウ・ソンラム教授が〈リグータ〉を使用していたので、最初は〈リグータ〉で始めました。音色をとても気に入り10年以上使用したのですが、当時の私にはコントロールしきれない点があり、他のメーカーのコントロールしやすい楽器に変えて5年間使いました。その楽器でトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団に入団することもできました。しかし、音楽的観点からは満足できない部分があったので、より自由に表現できる楽器を求めて、3年前に〈ビュッフェ・クランポン〉の“レジェンド”(木製)を購入しました。そしてに昨年10月からは、“レジェンド・ハイブリッド”を使用しています。“レジェンド”については、数名のオーボエ奏者からとても良い評判を聞いていました。
 
  “レジェンド・ハイブリッド”のどのような点が気に入っていますか。
 
チェン 自由に表現できて、安心して吹けるという特長を兼ね備えている点です。音量も出せるし、音色は柔らかく豊か。より少ない努力で、より良い結果を出せる。一言で言えば吹き易い楽器です!
 
  今後の活動について教えてください。
 
チェン トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団は交響曲だけでなくオペラの公演もあるので、フランスで最も忙しい楽団のひとつです。オペラは年間7演目、それぞれ6~7公演ありますし、同僚たちと様々な編成の室内楽も演奏しており、管楽五重奏では多数のコンクールに挑戦しています。毎週違うプログラムを演奏するので、常に新鮮な気持ちを保つことができますが、とにかく忙しい。笑
 今何よりも楽しみにしているのは、若干24歳のフィンランド人の新音楽監督タルモ・ペルトコスキ氏との公演です。ようやくコロナが終息して世界中をツアーできるようになったので、次回はせひ楽団と来日したい。新しい冒険にワクワクしています!
 
  ありがとうございました!
 
 
※ チェン氏が使用している楽器の紹介ページは以下をご覧ください。
〈ビュッフェ・クランポン〉オーボエ“レジェンド・ハイブリッド

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