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Alex Terrier Interview 2018

ミンガス・ビッグバンドで活躍するカリスマ・サクソフォーン奏者、アレックス・テリエ。演奏家としての経歴や、ジャズ・サクソフォーン上達の秘訣についてインタビューしました。
取材:ビュッフェ・クランポン・ジャパン(2018年8月11日・東京にて)

インプロヴィゼーションで重要なのは、作曲的な視点からのクオリティ

ジャズとクラシックを並行して学ぶ

  サクソフォーンを始めたきっかけは?
テリエ 8歳の時、夏休み中に南仏でバカンスに過ごしていた時、ジャズ・フェスティバルでビッグ・バンドの演奏を聴いたんだ。五人のサクソフォーン・セクションを見て、あまりの格好良さに感嘆した。ジャズを聴いたのは初めてだったけれども、すごく好きになって、すぐに「これがやりたい!」と思ったよ。

  どのように学びましたか?
テリエ 実は既にピアノを習っていたんだけれども、すぐに音楽院でサクソフォーンを始めて16歳までクラシック音楽を学んだ。ジャズの練習も並行して行っていた。その後、音楽高校、パリの国立音楽学校で学び、数年パリでステージの経験を積んでからバークリー大学に入学した。

  ジャズの教育は、フランスとアメリカで違いましたか?
テリエ 結構違う。フランスの音楽院はエリート育成を目指しているから学生数が少ない。アメリカは大学だから規模も大きく沢山の学生がいるし、とても国際的だ。今夜一緒に演奏しているピアニストの中村さんもバークリーにいたから、その頃から知っているよ。バークリーでは世界中の人と知り合い、友達になれて良かったと思う。サクソフォーン奏者のジョージ・ガゾーン氏に数年師事したけれども、僕の精神を解放し、聴く力を育ててくれた。彼の奏法も素晴らしく、とても影響を受けた。

  アレックスさんのソロは、構成が素晴らしいですね。秘訣を教えてください。
テリエ クラシック音楽の作曲をフランスの国立音楽学校でかなり勉強したからね。あとは日々の改善の賜物だよ。特にメロディーの展開、どのように物語を作るのかは、熱心に勉強した。僕のインプロヴィゼーションのやり方は作曲家と同じなんだ。ステージで即時に作曲する。僕にとってインプロヴィゼーションで重要なのは、作曲的な視点からのクオリティだ。

  現在所属されているミンガス・ビッグバンドでは、どのような経験をされていますか?
テリエ  ミンガス・ビッグ・バンドで演奏することは、すごく豊かな経験だ。ニューヨークのトップレベルの演奏家たちの集まりだからプレッシャーもあるけれど、一緒に吹くことで上達できるし、全員が素晴らしいソロを演奏するから、そこからもインスピレーションを受ける。ミンガスの音楽は知っていたけれども、とても身近な音楽になった。

 

上達の秘訣

  BCJジャズ・サックスアカデミー2018で講師を務められましたね。いかがでしたか?
テリエ  全て良かった。生徒たちは皆とても感じが良かったし、やる気に満ちていた。とても注意深く、興味津々に話を聞いてくれて、教えがいがあったよ。運営もしっかりしていたね。

  日本の若い奏者たちにアドバイスはありますか?
テリエ  日本にはとても才能のある生徒たちがいるよね。秘訣は練習することだよ!毎日!
ただし、練習はちゃんと計画的に考えてやらないと駄目だ。まず重要なのは音色。頭の中で想像し得る、最も美しい音を出すこと。そして美しい音を出すためには、とにかく沢山音楽を聴くこと。それも、CDやYouTubeで聴くことではなく、コンサートに行かないとダメだ。演奏家の目の前で聴けるコンサートでは本当に多くを学べる。ステージの経験も含めてね。役者が声のトレーニングをするように、演奏家は音の練習が必要だ。どんなに上手な俳優でも、声が不快だったら、成功しない。
次にリズムだ。正確なリズム、クリエイティブなリズムが重要だ。スイングするリズミカルな音を少し並べるほうが、音楽は美しい。だから、音階さえやっていればいい、という考えは間違いだ。高速で無意味なパッセージを披露するよりも、美しい音をスイングさせて、必要最低限な数だけ並べたほうが、スイングしない音を沢山並べるより断然素敵だよ。

   テリエさんはマスター・クラスやオンライン講座でジャズ・サクソフォーンを教えていますね。教育活動をはじめたきっかけを教えてください。
テリエ バークリーを卒業した時、それまでは考えたこともなかったんだけど、自分が学んだことを若いミュージシャンたちにも伝えたいと思ったんだ。今では教育活動は僕の活動の中でも大きな割合を占めている。教えて、自分の持っているノウハウを分かち合えることは、大好きだよ。若いミュージシャンに出会って、レッスンでどんどん上手くなるのを見ると、自分もフレッシュな気持ちになるし、いい刺激になる。自分も怠けていたらマズいぞ…ってね!オンライン講座には無料で学べるコンテンツも沢山あるから、気軽に学べるよ。

 

センゾの魅力は、芯があり、温かみや丸みのある音色

  Senzoはいつから使われていますか。
アレックス もともと、カイルヴェルトのSX90Rを随分前から吹いていた。とてもパワフルで大きな音が出る素晴らしい楽器だ。今でも使っているよ。でも、カルテットやカンテットの演奏用に、カイルヴェルトより、もう少し内向的な魅力と情感を持つサックスが欲しくなった。それで、より芯があり、温かみや丸みのある新しい音を探していたんだ。それで四年前に見つけたのがセンゾ。実際にはセンゾはジャンルを問わず多目的に使えるサックスで、ビッグ・バント、スモール・バンド、クラシック、なんでも演奏できる楽器だった。ビュッフェ・クランポンは、クラシック音楽業界で有名だから、クラシックのイメージを持つ人が多いけれど、アメリカのジャズ業界でも今後使用者が広がっていくと思うよ。

  楽器を選ぶコツは?
テリエ 同じ楽器でも奏者が変われば出てくる音も全然違う。大切なのは、快適に吹けること。自分の表現したい音楽づくりをサポートしてくれる楽器だ、と感じられるかどうかだ。

  最後に、今後の活動の予定を教えてください。
テリエ アフロ・キューバンのCDを10月にリリースする予定がある。ラテンジャズだ。タイトルはまだ決まってないけれど、「アレックス・テリエ、アフロ・キューバン・プロジェクト」という名前で出すよ。10月にはミンガス・ビッグ・バンドでイギリスを回り、メキシコに別のバンドでツアーに行く。ジャズ・ビデオ・レッスンのサイトも充実させる予定だよ。それと、スキーをやりに日本に来たいな!沖縄にも行ってみたい!


※ “センゾ”の製品紹介ページはこちらからご覧ください。

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